片田珠美(4)盗撮の陰に「去勢恐怖」
「片田珠美(4)盗撮の陰に『去勢恐怖』」(産経新聞:9月27日)
訳のわからない記事が載っている。盗撮・フェティシズムは男の「去勢恐怖」に起因するというのだ。デタラメもいい加減にすればどうか。今どき破綻したフロイトの説を持ち出してくるのが間違っているのだ。
わしがもし患者なら、こんな精神科医には絶対に診てもらいたくない。
記事を引用する。
盗撮事件が後を絶たない。もちろん、見たいという欲望を抑えきれないからこそ、こうした犯罪に走るのだろうが、のぞきと違って、盗撮の場合、ひそかに撮影した映像を収集したいという欲望も強い動因となっているように思われる。
とくに、チアガールやテニスルックの女性のパンチラをねらったり、駅や電車でスカート内を撮ろうとしたりする盗撮犯は、風呂場の盗撮と異なり、裸体や性器そのものを撮影しようとしているわけではない。このように下着の映像の収集に大きなエネルギーを注ぐのは、フェティシズムである。収集の対象が下着や靴というモノそのものではなく、映像という違いはあるが、根底には同じ構造が潜んでいる。
フェティシズムに駆り立てるのは、男の子が、自分の持っている男性の象徴が女性の身体にはないという事実を目撃した際に感じた「女性が大切なものを失っているのならば、自分も切り取られてしまうかもしれない」という恐怖だと、フロイトは分析している。たしかに、女性のフェティシズムというのは、あまり聞いたことがない。
下着類がフェティシズムの対象として選ばれることが多いのは、脱衣の瞬間、すなわち、まだ女性に「それ」があると信じていられた最後の瞬間の記憶につながるものだからだろう。
パンチラにせよ、スカート内にせよ、撮っているのが、性器そのものも、性器の差異も下着によっておおい隠された部分というのが、実は重要なのではないか。
下着の盗撮が報じられるたびに、幼い頃、女性の性器を目にしたときに覚えた「去勢恐怖」を克服できないまま大人になったのだと、哀れを感じずにはいられない。
こういうことを書くと、男性諸氏の激しい反発を買うに違いない。これまでも、「男性は、解剖学的に女性にはないものを持っているがゆえに、失うことに対する恐怖が強く、喪失体験に弱い」という趣旨の発言をするたびに、「妄想」だの「頓珍漢」だのと罵倒され続けてきた。でも図星だからこそ、むきになって反論するのだと思っているので、私は痛くもかゆくもないのである。
◇
日常のふとした出来事にも表れる人の心の動きを、精神科医の片田珠美さんが鋭く分析します。片田さんは昭和36(1961)年、広島県生まれ。大阪大医学部卒、京都大大学院人間・環境学研究科博士課程修了。著書に「なぜ、『怒る』のをやめられないのか」(光文社新書)など。
で、やはりこの記事についてネットでボロカスに言われたようだ。当然だろう。言うに事欠いて「これだけ反論が多いという事実が、男性が『去勢恐怖』を受け入れるのがいかに難しいかを如実に物語っている」とはねえ。
産経新聞もこんな阿呆な連載を止めればいいのに。信用を無くすぞ。
記事を引用する。
「片田珠美(7)『それ』を持たない女性の欲望」(産経新聞:10月18日)
この連載の4回目で「去勢恐怖」について書いたところ、インターネット上で大反響が起きた。もっとも、共感の声はほとんどなく、「そんなもん全くねえよ」「この精神科医の人、頭大丈夫?」「全くもって意味不明」など、反発と批判ばかりだった。いずれも想定内の反応とはいえ、腹が立ったので、「これだけ反論が多いという事実が、男性が『去勢恐怖』を受け入れるのがいかに難しいかを如実に物語っている」とツイッターでつぶやいた。すると今度は、「この女医さんは人間の精神の真理よりも自分のメンツのほうが大事だということがよくわかった」「アホすぎる」といった反応が返ってきた。
「去勢恐怖」についてなかなかご理解いただけないのは、男性の側の喪失に対する恐怖ばかりを私が強調したために、不公平な感じを与えてしまったからかもしれない。じゃあ、もともと男性の象徴を持っていない女性のほうに「去勢恐怖」に相当するようなものはないのか、という話になる。
男性の持っている「それ」を見て、「自分にはそれがない」ことを知った女の子は、「それを欲する」ようになるとフロイトは述べており、この欲望を「羨望」と呼んでいる。フロイトによれば、ここから二つの大きな流れが派生するという。
一つは、自分に「それ」がないという事実を否認し、あたかも男であるかのようにふるまう生き方である。男まさりのキャリアウーマンとかフェミニストがその典型だろう。
もう一つは、「それ」を自分も持ちたいという欲望を断念し、子供を持ちたいという欲望に置き換える生き方である。「それ」が自分にはないことによる「劣等感」を、女性は子供を産むことで克服しようとするのだというフロイトの主張は、フェミニストに激しくたたかれた。
自分に「それ」がないという現実を否認することも、子供を持つこともできない私のような女は、この「劣等感」と一体どう向き合えばいいのか? 「それ」=子供の代理となるような作品を生み出していくしかないが、この連載もその一つである。ですから読者の皆さん、あまりいじめないでくださいね。
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日常のふとした出来事にも表れる人の心の動きを、精神科医の片田珠美さんが鋭く分析します。片田さんは昭和36(1961)年、広島県生まれ。大阪大医学部卒、京都大大学院人間・環境学研究科博士課程修了。著書に「なぜ、『怒る』のをやめられないのか」(光文社新書)など。
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