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September 06, 2012

「天下り根絶」叫び圧勝した民主党政治の失敗

 「評論家・屋山太郎 『天下り根絶』叫び圧勝した民主党政治の失敗」(産経新聞:9月6日)

 民主党は、かつて安倍政権が実施した天下り禁止を緩和するだけでなく、逆に容認してしまった。また官僚人事には一切手を入れていない。「政治主導」など皆無である。

 そもそも民主党の支持母体の1つは自治労だ。官僚に逆らったら支持を失ってしまう。そんな政党に天下り根絶などできる訳がないのだ。まあ、それ以前の問題として民主党の無能さと実行力の無さがあるが。

 記事を引用する。

 総選挙を控えて、政界再編の波が押し寄せてきた。分裂した民主党は、どう再建を図るのか。政権復帰を狙う自民党は、誰を総裁に選ぶべきか。政界は与野党ともに混沌(こんとん)とした様相をみせている。そして、突如として誕生した「大阪維新の会」は、再編の動きにどうかかわってくるのか。

 ≪自民党の失敗、民主党正せず≫

 政治を展望する前に、混乱をもたらした原因を追及する必要がある。一般に政治の失敗は政権交代によって正される。日本の場合、政権交代を容易にするために、小選挙区制度を主体とした選挙制度が導入(1994年)された。その結果、3年前に政権は自民党から民主党に移った。政治の混乱を見て選挙制度が悪いのだから元の中選挙区制度に戻せという主張があるが、選挙制度が悪くて現在の混乱、政治の弱体化が起こったわけではない。自民党政治の失敗を民主党が正せなかったからだ。

 国民は自民党政治のどこが悪いと言って、3年前、民主党を圧勝させたのか。誰もがまだ覚えているはずだが、自民党では政・官・業の癒着を壊せないと国民が認識したからだ。規制により利益を受ける業界が政治家に献金する-という図式が日本政治の実態だ。

 日本は資本主義国の中では突出した“規制大国”である。規制は経済、社会活動を不活発にする。失われた20年は過剰な規制によってもたらされたと断じていい。官僚統治国である証拠は、給与、年金、退職金などあらゆる分野で官僚が有利になっていることだ。この官民格差の中で分かりやすいのは、天下り法人の存在だろう。

 そこで民主党は「天下り根絶」を叫んで圧勝した。俗に4500といわれる天下り法人を、民主党は一つでも潰したのか。政治は官僚の牙城に全く切り込めなかったのである。民主党の前原誠司政調会長は大阪維新の会の盛況を見て「橋下徹氏の人気に乗じて議席を取った人たちが増えたらどうなるか」と、素人政治家の出現を懸念した。だが、ベテラン揃いの民主党の人たちは何をやったのか。

 ≪喝采浴びる橋下氏の改革実行≫

 橋下徹氏は5年前、政治に全くの素人だったのに大阪府知事になり、すでに出来上がっていた府の予算を暫定予算に組み替えて、数カ月の間に50程度の天下り法人を28にまで減らした。職員給与も16~4%カット、退職金も5%削減した。素人がブレーンたちの知恵を借りつつ、行政改革を断行したのである。

 大阪維新ブームが起きているのは、橋下氏の実行力と改革のスピード感に国民が喝采しているからだ。一方で、民主党の支持率が10%そこそこに落ちているのは、国民がその実行力のなさに失望したからではないか。

 安倍晋三氏は、60年ぶりに教育基本法を改正した功績がある。片や、橋下氏は府知事から大阪市長に転じ、府と市にそれぞれ教育基本条例、職員基本条例を制定した。この条例は教員や職員の政治活動を徹底的に掣肘(せいちゅう)するものだ。端的にいえば、学校と行政組織のガンとなってきた日教組と自治労を金縛りにしたのである。

 教育正常化を叫び、社会保険庁の自治労に年金問題で政権を潰された安倍氏が橋下氏を「同志だ」と評価するのも、もっともだ。

 大阪維新の会は結党に当たって「維新八策」を決めた。これを踏み絵にして、3千人の中から議員候補者を選ぶという。民主党も再出発に当たって党の綱領ぐらいまとめたらどうか。

 ≪官主導改めずに日本再起なし≫

 民主党政権の致命的な欠陥は、外交政策の欠落である。鳩山由紀夫氏は首相になるや、中韓両国首脳に対し、「これまで米国にかかわり過ぎたから、今後は日中韓を軸に外交を展開する」と述べた。今、中国や韓国、ロシアにまでなめられているのは、日本が最強の同盟国から離れたからにほかならない。

 橋下氏は「日本人は自国の歴史を学び直すべきだ」と述べている。韓国が慰安婦を強制連行したと言うなら、「強制したという証拠を出せ」と反論した。この問題も、安倍氏が首相時代に「ゆえなき非難」として突っぱねていた問題だ。

 自民党は憲法改正を標榜(ひょうぼう)した立派な保守政党だったが、長期政権で精神まで朽ちた。「河野談話」などは、ゆえなき非難に謝ってしまった例証である。

 政界再編が次の総選挙で片が付くのか、さらに続くのかは分からない。はっきりしているのは、外交、安全保障政策を立て直す政党と、これについては相変わらず鈍感な党に分かれるということだろう。立て直す側は歴史認識、国家観も確立して貰(もら)いたいと思う。

 内政ではまず、“脱官僚”を貫徹できるかどうか、である。これは、橋下氏に見るように、政治の側に意志さえあれば、実行できるはずだ。民主党政治が失敗したのは、公約の実行率ゼロに加えて、財務官僚に操られた増税路線を走ったからだ。官僚主導の政治を改めない限り、日本の再起はないと知るべきだ。(ややま たろう)

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