東電の値上げ―こんな経営を許すな
「東電の値上げ―こんな経営を許すな」(朝日新聞:3月23日社説)
社説から抜粋して意見を書く。珍しく大部分は朝日新聞に同意できる。
「東電は約24万件ある企業向けの料金を、4月から平均17%値上げすると発表していた」
「だが、値上げに同意しない場合は、1年間の契約の更新日が来るまでは今の料金でいい。そのことを契約者にきちんと知らせていなかった」
詐欺に等しい行為だ。
「『実は』という話が一気に広がったのは、衆議院議員の河野太郎さんが書いた15日付のブログがきっかけだ」
他の国会議員、特に与党・民主党議員は一体何をしていたのか。
「そもそも、値上げ発表の時から強引だった。西沢社長は『値上げは事業者の義務であり、権利でもある』と発言し、企業や自治体から猛反発を受けた」
「原発事故を起こした東電が、まるで値上げが当たり前のように振る舞っていては国民の理解を得られない」
政府により保護された特権を持ち、地域独占企業体である以上、東電の強引な姿勢は別に驚くことではない。独立した民間企業では、このような姿勢はあり得ない。その企業の顧客が他の企業に移り、倒産してしまうからだ。
ここまでは、朝日の主張にも頷ける。しかし最後が悪い。
「この経営体質を根底からあらためていくこと。それが、東電を国有化するうえでの必須の条件である」
東電を存続させ国有化すれば、経営体質が改まるか。更に悪化する。国有化ということは、経営責任を国が負うということになる。国の歳入は国民からの税収であるから、結局、国民が責任を負わねばならない。責任を負う必要のない経営者や投資家の行為が無責任で非効率になるのは自明だ。歴史的事実に照らしてもわかる。民営化前の国鉄(JR)や電電公社(NTT)がどうであったか。国鉄の下では、電車のダイヤは改善されず、毎年のようにストや運賃値上げが行われ、駅員の態度は横柄で、駅のトイレは汚くて使えなかった。電電公社の下では、一般家庭では黒電話しか使えなかった。
原発の国営化は国民を更なる危険に晒すことになる。朝日新聞は普段は「国家」を否定しているのに、なぜ原発国有化を求めるのか。主張が破綻している。
社説を引用する。
「お客さま」という言葉が、そらぞらしく聞こえる。そんな東京電力の体質が、改めて浮かびあがった。電気料金の値上げをめぐる混乱である。
東電は約24万件ある企業向けの料金を、4月から平均17%値上げすると発表していた。
だが、値上げに同意しない場合は、1年間の契約の更新日が来るまでは今の料金でいい。そのことを契約者にきちんと知らせていなかった。
大量に電気を使う大口顧客のところには担当者が直接、説明に出向く態勢をとった。ところが、全体の9割を占める小口顧客には、郵送や電話で「4月以降は新料金で」とお願いするだけだった。
「実は」という話が一気に広がったのは、衆議院議員の河野太郎さんが書いた15日付のブログがきっかけだ。
ネットを通じて拡散し、21日には枝野経済産業相が東電を強く批判した。東電の専用ダイヤルには抗議の電話が殺到した。
西沢俊夫社長は「説明不足だった」と陳謝し、確認作業をやり直すという。
だが、これは「説明不足」という次元の話だろうか。
小口顧客のうち、4分の3は4月2日以降に更新日が来る。にもかかわらず、3月末までに特に「不同意」と連絡してこなければ、契約期間中でも4月1日から値上げするつもりだったという。
あまりに不誠実だ。
そもそも、値上げ発表の時から強引だった。西沢社長は「値上げは事業者の義務であり、権利でもある」と発言し、企業や自治体から猛反発を受けた。
福島第一原発事故の賠償問題でも、分厚いだけでわかりにくい申請書類に不満を募らせた被害者は多い。実際の交渉でも、東電側の消極姿勢が問題視されている。
それぞれの怒りに共通するのは、東電が結局のところ顧客や被害者のほうなど向いてはいないという「実感」だろう。それは長い間、独占の上にあぐらをかいてきた電力業界全体の問題でもある。
原発事故による巨額の債務やコストの増加分を、電気料金の値上げなしで処理するのが困難なのは事実だ。
しかし、原発事故を起こした東電が、まるで値上げが当たり前のように振る舞っていては国民の理解を得られない。
この経営体質を根底からあらためていくこと。それが、東電を国有化するうえでの必須の条件である。
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