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October 04, 2011

自殺防止キャンペーンの果て 問題化する抗うつ剤の処方

 10月4日の産経新聞夕刊に、「自殺防止キャンペーンの果て 問題化する抗うつ剤の処方」という記事がある。

 記事を引用する。

 ↓ここから
  平成10年に3万2863人に激増した(警察庁、前年比で35%増)日本の自殺者は、以来12年をへても3万人を超えたままである。長い間、「人それぞれ」とか「言葉がない」と言って自殺を肯定ないし無策を決め込んできた政治は、ようやく平成18年に「自殺対策基本法」を制定。19年度には246億円、20年度は225億円が自殺対策事業に費やされた。

  21年度は約159億円のそれに加え、さらに地域自殺対策緊急強化基金として100億円が追加された。22年度は124億円、23年度は134億円が計上されている。これほど鳴り物入りで行われている自殺総合対策なのに、亡くなる人が一向に減らないのはなぜなのか。

                   □

  7月、「平成23年版 自殺対策白書」が出た。表紙のイラストは、A4判155ページにおよぶ白書の内容を見事に表現している。背広の公務員や制服警察官が「力になれることはありませんか?」と言い、医師や看護師が「どうされましたか?」と語りかけ、家族が「お父さん、眠れてる?」と声をかける図である。

  この図の通りのキャンペーンが多額の経費を使って行われてきた。しかし、制服組(自衛隊や警官)や公務員の少なからぬ自殺は調べられず、家族は苦しんでいるお父さんを心配しても何もできず、心療内科や精神科クリニックを訪ねた多くの人が亡くなっている。

  全国自死遺族連絡会は昨年3月、1016人の亡くなった方を調査し、その69%が精神科治療中であり、とりわけ精神科受診に抵抗の少ない20歳代から40歳代の、通院しながらの自死が極めて高いと発表した。同年5月には厚生労働省研究班が、精神科・心療内科受診中に自殺した33人のうち19人(58%)が、処方された睡眠薬や抗うつ薬を自殺時に過剰摂取していたと述べている。

  そのため自死遺族連絡会は、「自殺対策をうつ病治療普及キャンペーンにすり替えないでください」と内閣府や厚労省に訴え続けている。にもかかわらず、今回の色鮮やかな自殺対策白書は、当事者である遺族の声をまったく踏みにじっている。

                   □ 

  この10年、マスコミ、精神科医、製薬会社などのうつ病キャンペーンによって、うつ病は増え続けてきた。厚労省の患者調査によると、平成11年に44万人だったうつ病などの気分障害患者が、20年には104万人、2・5倍に増えている。伝染病でもない疾病がこんなに急増するはずがない。

  かつて神経衰弱、スランプ、自律神経失調症などと呼んできた症状を、抗うつ剤を投与するために間口を拡げて「うつ病」と呼び替えたのである。

  かくして平成10年まで抗うつ剤の年間販売高は170億円だったのが、11年に新しい合成剤、セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)が販売されるようになってから急伸、20年には1000億円(約6倍)を超えたと推定されている。たとえうつ病患者が本当に2・5倍に増えたとしても、なぜ抗うつ剤をかつての2倍以上も飲まないといけないのか。

  今日、多くの人びとが職場の負荷、会社の業績圧力や人事問題、失業、ローンなどで苦しみ、うつ病ではなく「抑うつ状態」になっている。抑うつ状態の人に必要なのは、社会的負荷を整理し、それに対処する精神療法であり、支援である。現実はそうではなく、短時間診察で抗うつ剤の投与のみが行われている。

  内閣府は自殺対策白書を見直し、自死遺族連絡会が「自殺しようとする人を支援する人を支援する事業をやめてください」という声をよく聞くべきである。(野田正彰)

                    ◇

 【プロフィル】野田正彰

  のだ・まさあき 関西学院大学教授(精神医学、比較文化論)、ノンフィクション作家。昭和19年、高知県生まれ。北大医学部卒。長浜赤十字病院精神科部長、神戸市外大教授などを歴任。著書に『コンピュータ新人類の研究』(大宅賞)、『喪の途上にて』(講談社ノンフィクション賞)、『災害救援』『わが街』『犯罪と精神医療』『共感する力』など多数。
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