マニフェスト政治の欺瞞
2月2日の産経新聞朝刊に、「ジャーナリスト・東谷暁 マニフェスト政治の欺瞞」という記事がある。記事にもあるとおり、民主党には綱領がない。政党としての根本的な価値観が存在しないのだ。政権を奪うためだけに頭数をそろえた集団にすぎない。こんな政党モドキに政権を任せるのはもうやめないといけない。だが菅は「支持率が1パーセントになっても辞めない」と名言しているし(撤回はしたが)。とんでもない連中を政権に就けてしまったものだ。後悔先に立たずだ。
記事を引用する。
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先月26日から行われた国会の代表質問では、民主党のマニフェスト修正への批判が相次いだ。やってみたが達成できないので修正するというのでは、国民への裏切りであり、それなら衆議院を解散して信を問えというわけである。
もっともな話で4年間は消費税増税をしないといっていたのに、なに食わぬ顔で消費税増税を言い出し、高速道路無料化も一部にとどまる。子ども手当も満額支給ができず、農家の戸別所得補償も規模が縮小している。外交に至っては破綻状態。これでは違約だらけで、民主党政権も末期状態といっても過言ではない。
しかし、民主党がマニフェスト通り実行できなかったことだけを批判しても、病巣の中心に迫ることはできない。そもそも、民主党は真剣にマニフェストを守ろうとしたかも定かでなく、党のブレーンだった学者たちも「マニフェストは、守らなくてもいい」といっている始末なのである。これはマニフェスト政治というものに、本来的で致命的な欠陥があったと考えるべきだろう。
第1に、マニフェスト政治は、将来の事態を予測できることが前提で行われているが、そんな神のごとき能力は残念ながら人間には備わっていない。本来、予測不可能な事態に対処することが政治というものだから、予測可能と捉えることは政治そのものの否定である。細かに数値まであげて国民に約束するのは、大いなる欺瞞(ぎまん)というべきだろう。
ましてや、現実の政治に未熟な議員が多い民主党内にあっては、そらぞらしい言葉に飛びつく傾向が、マニフェストで約束した夢想のような事項と、厳しい現実との間の懸隔をますます大きく広げてきた。
第2に、マニフェスト政治は、政策の安売り競争をもたらすことになり、それは結局、国民の政治不信を助長する。民主党はマニフェストだけでなく、他の政策においても甘ったるい主張を述べたてたが、参院選前の多党化現象を思い出せば、もはやそれが、民主党だけの症状でないことはあきらかだった。
論者のなかには、選挙民がある政党に投票したからといって、その政党のマニフェストを支持したわけではないから、マニフェストは実現できなくともよいという人がいる。しかし、もしそうだとすればマニフェスト政治は、ますます政策の安売りをかき立てることになるだろう。
加えて、いまの政権が守れもしないマニフェストに固執するのには、もうひとつ大きな理由がある。民主党には党綱領が存在しないことである。およそ政党というものは、党の根本的な価値観を綱領で示し、そこから政策を立ち上げる。国民は党綱領と当面の政策提案を比較して判断することができる。しかし、この政党は政党の要件すら満たしていないのだ。そしてそのため、選挙民にこびるだけのマニフェストが党綱領の代わりを演じて、マニフェスト政治の弊害をさらに加速してきた。
民主党はいまごろになって党綱領を作ろうとしているらしいが本末転倒であり、マニフェスト政治によって生じた日本の損害は甚大なものといえる。いま私たちが目撃しているのは、民主党政権の崩壊だけではない。マニフェスト政治の、過誤と欺瞞があふれかえる悲惨な末期症状なのである。(ひがしたに さとし)
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